二日め。この日は朝から前述のイギリスの友人Sが宿泊している別の友人宅に出かける。Sはバーミンガムからクリフを見るために、この公演中、何度もロンドンに通っているのだ。四日後にまた来るのだが、今度はファンツアーで来るため会えるかどうかわからない。それで彼女が帰る10時半まで話をしようと訪れたのだ。もちろん話題はクリフのこと。’The Faithful One’ は涙が出るほど良い曲だとSは言った。いつものことなのだが、クリフは本当に’gorgeous’だということで、彼女と話の一致をみた。(笑)
それからSは私とYに、アリーナ席に座るのだったら、クリフに何かプレゼントを持っていくように勧めてくれた。クリフが今回はプレゼントを受け取って話しをしてくれるということは、風の噂で知っていたので、とりあえず成田でちょっとしてものを買ってはきていた。しかし私達は、気が弱いというのだろうか、どちらかと言うと遠くから見ているだけで満足する方なのだ。それで彼女の勧めを渋っていると、Sは「出来るときにやらなきゃだめよ。クロアチアの友人みたいになったら何ももうできないわよ。」と言った。このクロアチアの友人(私も一度会ったことがある)とは、やはりクリフファンだったけれど、数年前に病気になり最近亡くなったのだ。だからSの言葉は説得力があった。それでもまだ決心はつきかねていたのだが。
Sが帰ったあと渡辺代表とOさんにお会いした。そこでファンクラブの小旅行をキャンセルしたい旨をお伝えした。日本にいる時は、是非同行させてもらおうと思っていたのだが、イギリスに到着した日にコンサートを見るという強行スケジュールで疲労を感じてしまったせいだ。代表は心よくOKしてくださったが、すでに列車の切符は買ってしまったということで、そのキャンセルにキングスクロス駅まで行くことになった。
途中で銀行に寄る。トラベラーズチェックを現金化するためもあったのだが、昨夜タクシーに受け取り拒否された5ポンドの謎を解きたかったのだ。お札が変わったなんて話を聞いてはいないものの、拒否理由がわからないので、窓口でなんと言っていいのかわからず、ただ「あたらしいのにかえてもらえますか?」と聞いてみた。窓口のおじちゃんは手元にあったかなりの数のお札の中から一枚を選んで渡してくれた。私の持っていたものよりきれいなお札だったが、他は寸分違わず同じ5ポンド紙幣だった。つまりタクシーの運ちゃんは、お札が汚いというだけで、受け取りを拒否したのだ。日本でこんな経験をしたことのない私は、ちょっとビックリしてしまった。日本の方がサービスいいよ、絶対。
ロンドン名物二階建てのバスを乗り継いで駅に向かう。途中、ベーカーストリートでの乗り換えを間違え、少し歩いてしまったがそれもまた楽しい。予想していたよりも暖かく良いお天気で、コートをぬいでもうっすらと汗ばんだ。駅に着き、さっそく切符予約カウンターへ。結構すったもんだの末に、クレジットカードで支払った切符はクレジットカード本人がいないとキャンセルできないことが判明。考えてみれば当たり前のことなのだが、それに思い当たらないところがイギリスに来て舞い上がってる証拠。今一度、渡辺代表に連絡を取って彼女に駅まできてもらうことになった。待つこと小一時間。彼女の到着を待ってキャンセルの手続きをしてもらう。キャンセル用紙に必要事項を書き込むのだが、キャンセル理由まで書かせられたのには驚いた。渡辺さん、Oさん、ご迷惑をおかけしました。
駅でかなりの時間がかかってしまったので、ホテルで簡単に夕食をすませてコンサート会場へ。この頃にはようやくYも私もクリフにプレゼントを渡す決心がついていた。今日は渡辺代表も日本のファンクラブを代表して花束を持っていく。アリーナ席なら一緒に行こうよと声をかけてもらっていたのだが、お互い席も遠いようだったので、行くなら二曲めの’Move It’の後で行くよとだけ伝えてあった。Yとも席は別々だったのだが、それほど離れていなかったので、‘Move It’が終わると共にダッシュで舞台の下へ。その時にはもう反対の通路に代表の姿が。クリフも彼女に気づいてそちらに行ってしまった。代表が27名のメンバーがこの会場にいることを伝え、クリフも日本からファンが沢山来たことを喜んで、代表が指差した方へ手を振ってくれた。会場の人達も暖かい拍手を送ってくれた。
香港のファンの人と少し話してからようやく私たちにクリフは気づいてくれた。私が差し出したTシャツを受け取ってくれて、「ちょっと変わったTシャツ(正確にはクリフsweatと言っていた。)だけど何処から来たの?」と訊ねてから「君たちも日本から来たの?じゃあ、他の日本から来た人達とは仲が悪いんだ。」とのたもうた。会場は大笑い。私は違うと否定したのにクリフは聞いてくれずそのまま話を進めてしまった。Yは扇子を渡した。クリフはfunとfanをかけて「She is a beautiful fan.」と言っていた。近くで見るクリフはドーランが濃く、しわもはっきりとわかったが、そんなことは全然気にならず、やっぱり笑顔がステキだった。離れ難かったがステージの進行の邪魔をしてもと思い、早々に席に戻った。振り返って手を振ったら、クリフも振り返してくれた。それが何よりも嬉しかった。大役を果たし、その後は完全にリラックスしてコンサートを楽しめた。いつものことながら会場はノリノリで、私の横の女性は座ったままだったがずっと踊っていた。
今回のクリフは結構早くお帰りになるということで、お見送りをすることに。クリフが出てくるというあたりにはもうすでにかなりの人達が集まっていた。日本のファンクラブ人達もいた。待つこと15分くらいでクリフの乗った車がいつもは出てくるということだったが、この日は遅く、一時間近くも待たされた。やっと現れた車はかなりスピードを出していたが、クリフは窓を開けて手を振ってくれていた。一瞬でもオフステージのクリフを見られるのは、ファンにとってはとても楽しみなことである.
本日の服装はジーンズに黒上着。そしてピンクの上着へ。二部はピンクの上着から銀の襟のついた白上着だった。
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